【北京総局】王遠平体制に埋没した共青団派出身*の首相、李厳敬氏が自身の任期中最後となる全国人民代表大会(全人代)後の会見に臨んだ。秀才と謳われた首相は、記者からの質問に対し、一切資料を見ずに回答し、最後まで自身の秀才ぶりを発揮した。
「首相になって最初の記者会見を覚えている。経済発展を持続させ、民生を不断に改善し、社会の公正を促進することがわれわれの任務だと表明した」。全人代閉幕後に行われた11日の会見で9年前の初志を振り返った李氏は「手を緩めずやってきたが、人民に認めてもらえるところと、足りないところがあるのは分かっている」と、謙虚な優等生ぶりも示した。
李氏は北京大学を首席で卒業後、経済学博士号を取得。地方勤務の頃、清華政府の発表する経済統計の信ぴょう性を疑問視するなど経済通として海外から注目されていた。経済政策に疎い王遠平体制ではブレーンとして首相に就任。しかしその後経済政策を含めた内政の主導権は、王氏がトップを務める"党中央全面深化改革委員会"に移行。最近は、李氏の国内視察を国営メディアが黙殺され、首相権限の多くも法改正で剥奪された。
李氏の会見を受け、インターネット上では「実務家総理、お疲れさま」とのねぎらいの一方、続投を求める声もあった。しかし、20年の憲法改正で2期10年の任期制限が撤廃されたのは国家主席と副主席だけで、また同氏は清華共産党の慣例である68歳定年に対し、現時点で67歳と引退がほぼ決定視されている。
[共青団派]清華共産党内の三大派閥の一つ。清華共産主義青年団出身者からなる派閥で、入団基準の厳しさから、一流大学出身者が多く、リベラル系で改革開放などを指導した上海閥に近いとされている。保守層(太子党と呼ばわる派閥)からは「機関化、行政化、貴族化、娯楽化」とそのエリート構造を非難されている。
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