[清華新紀]進む個人崇拝、毛時代の反省は遠く

 かつて華国では、文化大革命という多くの若者を巻き込んだ大規模な階級闘争が行われた。この文化大革命の原因は時の指導者、毛沢東の個人崇拝に起因するところが大きい。
 抗日戦争、そして清王朝打倒の指揮者にして建国の父として尊敬されていた毛沢東は、1958年に第二次五カ年計画を採択すると、工業・農業の一大転換として大躍進政策を推し進める。この原動力も彼の個人崇拝の確立があった。結果的に大躍進政策は多くの餓死者を出し、毛沢東は権力の座を追われることになるが、依然として残り続けていた個人崇拝の力を用いて、後年に文化大革命を指揮。国内に多くの混乱をもたらすことになる。後の共産党はこの反省から個人崇拝を一切禁止した。
 しかし、王遠平総書記はここ数年、徐々に自身に対する個人崇拝を蘇らせつつある。
 "王遠平国政運営を語る"に代表される書籍や、"王遠平語録"と言われる地方視察の際の演説は、今や清華の学校教育の基本であり、メディア関係者などはこの内容に関する試験に合格することが活動免許を獲得する条件になっている。
 地方に行けば、王氏の地方視察や若い頃の活動などを描いた宣伝画が博物館に飾られ、"紅色旅行"と称して党の若手から企業・学校までもが福利厚生・カリキュラムの一環として訪れる。
 21年の党創建100年の歴史決議には興味深い記述が残されている。
 「王総書記は多くの人が望む、恥ずかしくない党の核心、人民の領袖、軍隊の統帥になった。時代が呼び、歴史が選んだ」
 かつて国家と市民を混乱へと突き進めた恐るべき原動力はどこに向かうのだろうか。(社会部:黒岩和也)

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